まわれアザラシ、棍棒よけて。

公演の宣伝用ブログ 兼 雑記

22歳⑥

TITLE: ピロシ! マ

CATEGORY: 読書

DATE: 08/09/2012 23:45:59

 

別冊文藝で最近感動(?)したのは、寺山修司の号、彼の離婚した奥さんであり、天井桟敷の制作をしていた人のインタヴューによると、寺山修司はとっても寂しがり屋で、二人は(夫婦なのに)二人きりでご飯を食べたことがほとんどなく、いつもワイワイ何人かでご飯を食べていたらしい。
有名な話だけど、田舎から家出して訪ねてきた若者に、寺山は一宿一飯以上の面倒をみ、そのため天井桟敷は常に大所帯、この劇団を通過してきた人は約数千人にのぼるという。だから大所帯を養うために寺山は大量の原稿を書かなければならなかった。稽古中も原稿を書いていた。
一人っ子で、「弟か妹が欲しい」とよく言っていたらしい。
とにかく、天井桟敷を作った理由の一つの根っこが「寂しい」だったのは、なんだかとても良いなぁと思う。

あと、寺山と鈴木忠志の対談を読んだら、全然噛み合ってなくて、まぁそれ以上に噛み合っていないのが、寺山と三島由紀夫の対談なんだけど、この、いつでも噛み合っていない修司は信じられないぐらいビッグマウス、 ロマンティストでセンチメンタリスト、ドメスティックでパセティック! かわいい。かわいいぞ修司! 

寺山修司による高校生のための人生相談なんてものあったけど、これも恥ずかしい。基本的には「家出しろっ!」で全部解決する。


鈴木忠志対談集』から↓読んだとき印象的だった一言(こういうのは文脈しだいだけどさ!)

寺山「(前略)そういう意味で、つまり彼らは非常に芝居が好きなんだという感じがするね。おれはやっぱり芝居が好きかというと、そんなに好きじゃないんじゃないかって気がするんだな。だからそのへんがちょっとちがうんだろうな」




そんなこんなで、岡崎京子の漫画が20冊ぐらいある。
別冊文藝の岡崎京子特集も手に入れた。結構読む。
岡崎京子にはまだハマっている、わりといいハマり方をしている。
そして、別冊文藝にも若干ハマりつつある、
近頃の僕の好きな本は、もっぱら雑誌と攻略本。

今日は『危ない二人』を読んだ、僕はピロシのようなキャラクターが好きなようだ。「ロクな死にかた」のダーツ好き舎弟のような、ささやかな幸せに満足し、人に共感する力が高く、のほほんとしているようで、すぐ喜び、すぐ怒り、怒ったところでどこか迫力にかけ、ワーワー言うのに、すぐに折れ、基本優しく、つい犠牲になりがちなタイプの人だ。団欒を醸し出すタイプ、他人の人生に彩りを加えるタイプだ。ただの腐れ、ファッキンインポ糞虫いいヒトどもとは違う。自分の欲求を叶えようともがく姿ですら涙ぐましく、いじましいのだ。なごむ、なごむ系、ナゴムギャル。グランギニョルライチ☆光クラブ。(ライチ☆光〜の世界では真っ先に殺されるタイプですね、逆さ吊りにされて、己の大腸を頭に降りかけられる)

あと『テイクイットイージー』も読んだ、読んだあと、「駄作駄作ぅ」とつぶやきながら布団に頭から飛び込んでしまった。終わり方がすごい、駄作感。そんな感じ。あと、さいきん、がっくりきたらよく、布団かソファに頭から突っ込む、解決しないときはそのままうぅーうぅー唸る、自分の体から抜け出て、自分の後ろ姿を見たらキチガイそのもので不安になる。キチガイの人もその人なりの理由があるのだなぁ、むやみに迫害してはいけないなぁと思った。明日はわが身である。

二作とも家族ものだった。家族ものが結構多い、岡崎京子
自分の家族関係がなんか薄いので、(まぁその薄さが私にとってはリアルな家族であって、唯一の存在で、もちろんそれ以外にいないので、これからもその家族とできるだけ家族しようと思うのだが)むずがゆいような、絵空事のような、夢のような話に思えて、魅力的。自分にないものを見るのはよい、
人が物語に求めるのはワンダーとシンパシーだとなにかで読んだぞ、ほむほむだぁ!(穂村弘!)
人は読書などに、シンパシーを求めがちで、ワンダーですらシンパシーに変えがちな生き物らしい、
うむむこれだけではなんのことやらわからないかぁ、ま、僕はわかるのだ、読んだから。

子供ができる想像するって、すごい、夢に似てる。だってできたことないもん。できるとこが想像できない。上京とか、一人暮らしみたいな感じで、慣れれば日常になるのだろうか。

『コーヒー&シガレッツ』をまた観た、まだ返していない、まだ観れる、観ている、DVDが欲しいレベル。手に入れたら手に入れたで、けっこうフツーだと思うけど。
ほとんど中身のない映画だけど、なんか好き…、というような感想がとても多い映画。コーヒーとタバコを好む人たちがくっちゃべっている姿をボーッと眺める映画。なんなら指をくわえてもいい。(禁煙中のトムウェイツがイギーポップに「(タバコなんて)おしゃぶりさ!」『コーヒー&シガレッツ』より)

コーヒーが飲みたくなるけど、タバコが吸いたくならないのは、僕がタバコを吸わないからだろう、
あ、でもこの間、とても月が綺麗で涼しい夜に、
部屋の電気を消したままヘッドホン(新しい!)で音楽を聴きながら、あぁ、こんなときにプカプカやったら、色々、すぅーっとするだろうなぁ、と思った。うん、別に、タバコじゃなくてもいいんだけど。
まぁ、そんな感じ。

 

〜〜〜

キチガイをバカにしてはいけない! 明日は我が身である」と書いているけれど、明日どころか、わりとガイキチ度は高いと思う、自分のこと。独り言も多いし。動きも変だし、はっきりいって、頭も変だ。

 昨日映画『まぼろしの市街戦』を観た。観ながら思っていたのは「寺山修司は好きだろうなコレ」というのものであった。ガイキチがいっぱい出てくるからだ。ニセモノがいっぱい出てくるからだ。

 寺山修司という人はやはりキャラが凄く立っていて、自分でキャラ立てしていることを隠そうともしていない人で、そういう意味ではみうらじゅんに通ずるものがあると思う。素人が思う「これみうらじゃんは好きだろうな」っていう見立てと、本人が思う「これ俺好きじゃないといけないんだよな」っていうものがほぼ等しそう、ということにおいて。

 みうらじゅんは生き方について「自然体でいてはいけない」と言っている。だって、自然だと、面白くないから。無理をしない。ありのままの自分を愛する。ノン! 無理をする。人の期待に応える。笑わせたり驚かせたりする。見知らぬもの、ダメなもの、人が無価値だと思うもの、に対しても、ムリをする。じっさい自分もわからなかったり興味なくても。

 

 「でもそこがいいんじゃない?」

 

 『コーヒー&シガレット』はDVDを持ってる。一時期のおやすみムービーだったので、めちゃくちゃ回数観ている。(おやすみムービー→寝る前に、脳をリラックスさせるために観る眠い映画。他に志ん生の落語とかある。映画じゃないけど。)これはおしゃれなフリしてるけど、ガイキチがたくさん出ている映画だ。明快なガイキチじゃない。皆仕事してるようだし。服も着ているし、言っていることも普通だ。でも、目がおかしい。あれ、そう思うと大抵の人間って目がおかしい。電車に乗っている時とか、病院(フツー(?)の)の待合室で座っている時とか。人間はだいたいガイキチかもしれない。そうじゃないと思っていると、生きていて、思わぬショックに直面するかも。