まわれアザラシ、棍棒よけて。

公演の宣伝用ブログ 兼 雑記

20歳②①

TITLE: お引越し。

CATEGORY: 日常生活 DATE: 03/29/2011 21:44:14

BODY: ・初めて引越し屋を呼んだ。

なんでも初モノはドキドキする。
こういうイベントのときは、そのときの感じや、いろいろ細部を見て記憶しておいた方がいいと思う。
なにか書くときの参考になると思う。

恋するマドリ』原案の筧昌也は、引っ越したときの経験から映画の発想を得たらしいし、『お葬式』の伊丹十三もそんな感じのことを言っていた気がしなくもない。

夕方ごろとうとうやってきた引越し屋は想像以上にヤンキーであった。
まず、ガム噛んでる。出だしから噛んでる。二の腕が太い、かなり太い。そしてタバコ臭い。だからガム噛んでたんだ……、でも隠しきれてない。

作業員は2人、そういうときはバイトとベテランでコンビを組んで仕事をするようだ。
バイトくんは髪茶色い。同い年ぐらいだろうか、無口で目も合わせてくれない。

そこからはもう体育会系の世界が展開された。初めウチ手伝おうとすると「大丈夫ッス」とたしなめられた。
僕はそうじをするフリをしながら、実際ほとんど作業を見ていた。

なにごとも熟練されると美しいものだと思った。ベテランは養生はるのにもやたらかっこいい感じの動作ではる。もしかして、見られることを意識しているのではと思うほどである。

目の前で、自分のための肉体労働が繰り広げられているのを見ていると、なんだか不思議な気分になった。
古代ローマの奴隷主になったようなイケナイ気持ちだ。はちきれんばかりの筋肉の躍動、座っているだけのオレ。自分の体がひどく貧弱に思える。(まぁじっさいに酷く貧弱なんだけど。)やはり肉体の強いものの方が生物として迫力があるなぁ。エネルギーっつーか。

洗濯機の接続について聞いてみた、

「・・・・・と、まぁ、こんな感じだと思うっす。……結局ウチらはただ運ぶだけなんで、それ以外は良くわかんないっすから、あんまり聞かれても、実際なんかあったときは…、詳しくは専門家に、…壊れても、……仕方ない、その…、ウチらは運ぶだけなんで!」

リーダーの言葉はやたら卑屈で、なんとか責任を回避しようという意志が強く見えて、まるで電力会社のようだ。というか電力会社が引越し屋に似ているのかもしれない。

(余談だけど、最近、転居のことで東電に電話したら、受付の人がやたら親切で、すごくお礼を言われて、最後にはボクの健康まで気遣ってくれた、ボクは「ガンガン元気ですよ、もうこれからガンガンやりますからね、ありがとうございます。」と言っておいた。

埼玉県についた頃には、夜の9時半を越えていた。なぜかここにきてバイトくんは急に愛想がよくなって、(なんだ人見知りだったのか、)「これは何処におくんですか」とか聞いてくれる。ボクも「それはそちらですよ、あぁありがとうございます」といつも以上に敬語を心がける。

リーダーはよくわからないタイミングで、・・・・「あいつはまだ16なんで、仕事覚えたてなんですよ」というなんだか重々しい感じで、教えてくれた。

16か、若いなぁ。まったく体育会系は成長が早いものだと思った。

作業は10時に終わったけど、二人はまだ仕事があるという。
上から早く次の現場にいくように、せっつかれているらしい。

なんだか、バイトくんがやけに印象に残る。ていうか、ていうか16歳って夜中まで働けたっけ?
社会の裏側なんだろうか。

とにかく作業の間に腹が減った。見ているだけで腹が減るのだから、やっている方はそれどころじゃないだろう。「はやく終われ」とか思うんだろうか。

こっちは一回やったらしばらくやらなくていい、しかも自分のための特別な作業だから平気だけど、他人のためによくできるなと思う。こっちは非日常でもあっちは日常なんだろうなと思うと不思議だ。医者とか、葬儀屋ともそうだよね。

 

〜〜〜

特にコメントはない記事。

でも、このときおれは働いてなかったんだなぁという感慨が深め。