まわれアザラシ、棍棒よけて。

公演の宣伝用ブログ 兼 雑記

発掘①

2011年に書いた文章①

 

 

〜〜〜

 

昨日じしんがありました。部活の皆で、9階でミーティングをしているときにきました。ビルはぐわんぐわん揺れました。

叫んだ人も叫ばなかった人もいたけど、
「トイレに行っとけばよかったっ!」という叫んだ人が印象的でした。
昨日はウチに三人泊まりに来ました。その子たちの家の水道と電気が止まったからです。
ボクは9時に寝ました。朝から埼玉に行かないといけなかったんで。

よる、福岡の後輩が、家族と電話していました。
「そっちは全然来とらんと? え、…こ、(笑い)コラ、不謹慎たい。」

「どしたん?」
「TVの津波の映像がポニョみたいだって。」
「まじで。」

電話の音がする。

 

「あ、お母さんあの、もう、行ってきてたんやけど、あの、受験してきた。うん、あの、日本大学、うん、芸術学部、うん。」

 

「ごめん。うちやって大変やのに、・・・・え、そんな、ウソぉ、ええの? そんな、あっさり、うそぉ、…ありがとうっ。うん、今年落ちたら絶対あれやけん、絶対もうあきらめるから、えぇ? 来年でもええん? どんだけ優しいの? うん、ありがとう、うん、やっぱ一度しかない人生やけん、好きなことして生きれたら最高やと思うんや。」

 

彼女が出てくる、彼女という、物体。一目でわかる。

「教職、もう受けんでええわこれで。」

なんか、ホンマにうち、恵まれとるんやと思う。うん。

 

「大丈夫やって。うん、計画停電さ、結局せんかったし、うん、うそうそ。なんかせっかくさ、ろうそくとか買ったのに、いらんっぽいわ。えー、大げさっやって、ええよ帰らんでも、だってこっち友達とかみんなおるんやで、うん、どーせ東京滅びたら、全部終わるんやけん、みんな一緒やろ。」

 

受かった。

 

2011年 3月29日のブログから

 

「夕方ごろとうとうやってきた引越し屋は想像以上にヤンキーであった。作業員は2人。まずベテラン、ガム噛んでる。出だしから噛んでる。二の腕が太い、かなり太い。そしてタバコが臭い。だからガム噛んでたんだ……、でも隠しきれてない。バイトくんは髪茶色い。同い年ぐらいだろうか、無口で目も合わせてくれない。そこからはもう体育会系の世界が展開された。初めのウチ手伝おうとすると「大丈夫ッス」とたしなめられた。僕はそうじをするフリをしながら、実際ほとんど作業を見ていた。

なにごとも熟練されると美しいものだと思った。ベテランは養生はるのにもやたらかっこいい感じの動作ではる。もしかして、見られることを意識しているのではと思うほどである。

目の前で、自分のための肉体労働が繰り広げられているのを見ていると、なんだか不思議な気分になった。古代ローマの奴隷主になったようなイケナイ気持ちだ。はちきれんばかりの筋肉の躍動、座っているだけのオレ。自分の体がひどく貧弱に思える。まぁじっさいひどく貧弱なんだけど。やはり肉体の強いものは生物として迫力がある。

 

ハトの迫力、鳩胸。

鳥は筋肉の塊なんだぜ。飛ぶ筋肉ダルマ。

 

ホームレス 明日のことなんてどうでもいい。

男 僕らはただ、鍋を囲みたい。

世界が滅んだって、原発が吹っ飛んだって、どうでもいい。

ま、どうでもいいってことはないけど。

お前はほんとに煮え切らないなぁ。

そう、煮え切らない、鍋を、想像するだけで寒くなる。

ぬるくなる。

ぬるぬるといきてるもんね。

とろ火だね。

鍋の火が途中で消えることを想像するとぞっとするわ。

鍋を、ただ鍋を、魚を、肉を、野菜を、あったかさを求めている。

ホクホクと。

 

あした世界が滅ぶとしても、僕らはただ、鍋を夢見る。

 

ハト 人間はもうおわりだってことは、僕たちの間で、もうもちきりだっぽぉー。

ホームレス だっぽーって、なんだっぽー。

ハト ハトだからね、鳩だっぽー。

 

男1 俵万智の短歌でさ、「さむいね」って、いったらなんとかってあったよね?

男2 あぁ、なんだっけ?

男1 寒いねって言ったら、え-と、

男2 寒いねって言ったら、寒いねっ。

男1 違うよ、それじゃ普通じゃん。

男2 だって、ほかになんかある?

男1 うーん、あっ、思い出した、最後、暖かさで終わるんだ。

男2 寒いねで?

男1 うん。

男2 寒いねって言ったら、コンビニ入る、暖かさ。

男1 たぶん違う。

男2 そっか、

男1 どういうシュチュエーションそれ。

男2 うーん、デートとか。

男1 デートでコンビニ行くんだお前。

男2 たまにお金おろしたりもする。

男1 なるほどね、

男2 彼女が。

男1 なるほど。

 

間。

 

男2 寒いね。

男1 寒いね。

男2 寒いねって言ったら余計寒いね。

男1 うん。

男2 熱いねって言ったら熱くなるかなぁ。

男1 なんないよ。

男2 熱いね。

男1 ・・・・。

男2 あったかいね。

男1 ・・・・。

男2 ごめん。

男1 いいよ。ぜんぜん。

男2 いま、僕の前に湯気がほかほかした、あったかいおかゆがあったら、泣くね。

男1 泣いたときってちょっと温かいよね。

男2 うん、泣き終わった後ってすべてがいとおしかったりするしね、そして惚れるね。

男1 なにに?

男2 おかゆに。

男1 おかゆごときに。

男2 うん、心とか、すっごい脆くなるからね、そういうときは、もろくも、

男1 惚れちゃうんだ、おかゆに。

男2 うん。

男1 彼女は。

男2 いや、いまはいないから。

男1 そっか。

男2 でも、おかゆだったら、許してくれると思う。

男1 うん。

男2 いまいないけどね。

ハト 人間は愚かや。

ホームレス うんうん。

ハト 寒いときは群れればええ。私の仲間のように。

ホームレス そうだなぁ、俺ペンギンってホントに一番賢い鳥だと思う。

ハト ハトやで、おれは。

ホームレス おめぇじゃねぇーよ、ペンギンのこといってんだ。自意識過剰か。

ハト 鳩に自意識、あると思う?

男1 やべぇ、見てみなよ、あすこのおっさんハトと話してる。

男2 そんなこともあろうよ。

男1 いや、対等な感じでだぜ。

男2 え、対等はムリだわぁ。自尊心あるもん俺。

ホームレス ・・・・最近さ、人みてぇに生きるの疲れたわぁ。

ハト あー。

ホームレス わかる?

ハト 人みたいっていうのはつまりあれでしょ? 他人みたいにって意味じゃなくて、人間っていう生き物自体をさ、アレでしょ?

ホームレス あぁ。

ハト きつそうやね、人間は。

ホームレス 鳩にまで見破られて、人間はダメだなぁ。生き物としてダメだなぁ。

ハト 最近、幸せ?

ホームレス ないない。お前どうなの?

ハト 幸せよ、もちろん。ええこと教えてやろうか?

ホームレス あぁ。

ハト このパンくず、めっちゃうまい。

男1 やばいな。

男2 なんか、いい雰囲気だよなぁ。

男1 なにが?

男2 おっさんとハト。

男1 あぁ。

男2 どーやって、手なずけてだろうな。

男1 さぁ、

女1 何見てんの?

女2 いや、あそこの二人組。

女1 あぁ、

女2 あれ、ホームレスかなぁ。

女1 っぽいよねぇ、

女2 なんてこった。

女1 どうしたの?

女2 だって、神様がいるのに、どうして世界からああいう人たちがなくならないのかな?

女1 その問題については何度も話し合ってきたじゃない。

女2 信じる者しか救われない。

女1 そう、だから、皆が信じたら、皆が救われるのよ。

女2 うん。

女1 私たち、頑張らなきゃね。

女2 うん、頑張る。

 

人生なんて言われても、実感わかないし、自分が人間かどうかもわかんない。

 

所沢ってさ、あれらしいよ、宮崎つとむの家があるらしいよ。

えっ?

あ、間違えた、駿だ駿。宮崎駿

宮崎勤も、あながち遠くないところが怖いよね、

いや遠いよ、遠い遠い昔の話

どーでもいいよね、

うん。

 

中トトロと大トトロがいるんだよね、

あぁ、もうアレにしか思えないよな。

中トロ。

うん。

とろとろしてそうだよな。

アイツの腹の上で昼寝する夢想は、誰だって、一回はしたことあると思うんだ。

 

日がな年中、雲ばっか眺めてる。そのうち雲なんて、空なんて、どーでもよくなって、最近はずっと鍋のこと考えてる。

 

壁を見つめてうーうー唸っている。

壁にはなにも書いてない。白い壁、ポスターは今張ってない。

改めて、思う、いい家に住んでいる。

 

しかし、改めて、ハッピーを求めている私は、若いからか。

年を取ったらどうなんだ。

てっぺん白髪のおじいさん、何度でも食べたいものも、読み返したい本も、いまだ知らず。ついに知らず。

 

てっぺん白髪のひげ爺さん、私はあなたが知りたいの。

男、電話をしている。

 

あの、お母さん、あの、あのさ、突然なんだけど、受験したいんだ。うん、あの、日本大学の、演劇学科。

そういうこと、

 

4月5日のブログから

「所沢はじつにド田舎さわやかな所だ。
実家に帰ったとき、つい、「地元に帰りたい」と言ってしまったほど馴染んでいた相模原より、さらに田舎臭がつよい。駅前に住んでいたということもあるのだろうけど、たぶん、それだけじゃないはずだ。

8時に起きて、外に出る。朝日がまぶしい。さわやかだ。
僕が住んでいるところは住宅地。一件家が多い。
壁は白くて、だいたい植物をかっている。
庭付き、小人付き。ピアノ教室とかもある。
表札が可愛いアルファベットの家まである。

ピアノ教室とかもある。
犬の散歩をしている奴もいる。

めまいがするほどさわやかだ。吐き気を覚えて、家に帰ろうとしたら、なんと、女子中学生の集団とすれ違った。
なぜか全員青いジャージで、髪はとうぜん黒。美人もブサイクもそろって健康そう。きっと運動部かなんかだろう。とにかく、さわやかだ。なぜかみんな笑っている。ボクを笑っているのじゃないかと不安になる。集団でラリっているだけならいいけど。

こんな環境で、まともな創作かつどうができるか心配だ。毒気がなくなってしまう。だから日大生はミュージカルにはしるのだろうか。うたをうたうのだろうか。おどるのか。

「ずっと住みたいなぁ、所沢には」
なんてセリフが飛び出しかねないほど、キレイな家がいっぱい並んでいる。
軽やかに自転車をこぐサラリーマンたちを見て、僕もいつか、この中の一人となって、このさわやかな風景をカタチづくる、さわやかな男の一人になるのだ、と思いかねない。

かまってちゃんの楽曲「さわやかな朝」がこれほど沁みる朝はない。しかし、すぐ慣れるのだろう、このさわやかさに。」

 

誰だって、人生に一度は、素晴らしい劇作家になれるって話を聞いたことがある。

自分の人生を、そのまま、載せればいいから、舞台に。

人の一生は、ちょんと舞台に乗るようにできてる。

どんな人生も、鑑賞に耐えるような、やまあり谷あり、のハズなんだ。

そう、思ってたんだけど、どうもそうではないみたい。

人間はそんなに分かり合うことはできないし、分かち合うこともできないんだなっていうのを、最近ひしひしと感じるよ。

 

そういうと思ったわよ。

 

僕はあなた方のことを知らないし、同情もしない。

それは、ほんとにほんとにそうだ。

同情したいと思っているのかすらわからない。